青の世界のあなたと、記憶をなくした私との365日の恋物語
蒼さんは、私の言葉に少し考える素振りを見せながらも、その
光る物を私の掌に載せた。

「見覚えはないか?」

私の掌に載せられた光るものは・・・シルバーのリング。

「・・・いえ、よく分からないです。」

何か引っかかるものを感じながらも、初めて見るような気もする。

「・・・そうか・・。
 これは、ここで俺が碧を見つけた時に、碧が握っていた物なんだ。
 そして・・・俺が捨てた物でもある。」

「エッ!どういう事ですか?」

「何故、碧が持っていたのかは分からないが、これは一年前に俺が
 この海に捨てた指輪だ。」

「それって・・・まさか、梨花さんへの指輪・・・。」

どういう事なんだろう、蒼さんが海に捨てた指輪を私が持っていた。

やっぱり私は・・・・。

あの夢が頭をよぎった。



「もし、碧が必要ないのなら俺の好きにさせてもらってもいいか?」

「・・ええ、いいですけど・・・。」

元々、蒼さんの物だったわけだし、私が持っていてもどうしようも
ない物だ。

私は、蒼さんに指輪を委ねた。

すると蒼さんは、指輪を眺めてからギュッと右手で握りしめると
あろうことか、思いっきり海へと投げてしまった。

指輪は、キラキラと煌めきながら波間に吸い込まれていった。



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