宇佐美くんの口封じ





ドンっと後ろから感じた衝撃。

───と、ともに崩れた私の身体。



大きな音と、「雅!?」と叫ぶリコの声が聞こえる。




ジンジンと痛む膝。


何が起こったのかわからなかったけれど、どうやら教室から飛び出してきた、前を見ていなかった2年生の男の子に後ろからぶつかられてしまい、持っていた美術道具を全部廊下にぶちまいてしまったらしい。


ぶつかられた私はというと、膝を強打する形で転んでしまった。



前を歩いていたリコが戻ってきて、私にぶつかった男の子を睨みつける。




「ちょっと!ちゃんと前見て歩いてよ!」

「ご、ごめんなさいぃっ!あの、俺…っ!」

「雅、どっか痛い?大丈夫?」

「だ、大丈夫…。君も大丈夫だから、ねっ?」




泣きそうな顔をして必死に頭を下げる男の子が可哀想に思えてきてしまい、痛む膝を隠して笑顔でそう返す。


…本当は立てそうにないくらい痛いけど、大丈夫って言ったからにはせめて教室までは歩かないと────






「せんぱい、痛いなら無理しないでよ」


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