宇佐美くんの口封じ
取り残された私と宇佐美くん。
廊下でもともと作業をしていた2年生の人たちが、「あれって宇佐美のお気に入りの先輩じゃね?」などとひそひそ話してるのが聞こえる。
最近会っていなかった分、宇佐美くんと一緒に目立つのは久々でどこか居心地が悪かった。
「せんぱい立てる?」
「な、なんとか…」
「…嘘つかなくていい。…おぶるから乗って」
そう言って宇佐美くんが背中を見せる。
こんな公衆の場で宇佐美くんの背中に乗るなんて、あまりにも難易度が高すぎるのでは。
申し訳なさと恥ずかしさに襲われなかなか乗れずにいる私に、宇佐美くんは小さくため息をついた。
「乗らないならお姫様だっこにしますけど」
「ひぃ…!の、乗るよ…!」