宇佐美くんの口封じ
お姫様だっこなんてされたら。
降ろされるまでずっと宇佐美くんの綺麗な顔を見ていなくちゃならないし、なによりも目立ちすぎる。
だったらおんぶの方がまだ…うぅ…。
「…お、重いからね?ごめんね?」
「大丈夫だから。むしろせんぱいはもっと食べた方がいいですよ」
「っ食べてるよ!」
「はいはい。行きますよ」
恐る恐る彼の肩に腕を乗せる。
すると、宇佐美くんはいとも簡単に私を背負って立ち上がり、周りの目や声に恥ずかしがることもなく保健室に向かった。
宇佐美くんの姿を捉えてからずっと、心臓がばくばくと音を立てていた。
…宇佐美くんといると、私の心臓はいつか死んでしまう気がする。