宇佐美くんの口封じ
「…え?」
宇佐美くんと私の声が重なる。とっさに私たちは距離をとり、音のした方へ視線を向けた。
「…麻央(まお)、?」
宇佐美くんがそこにいた人物を捉え、声を洩らす。
麻央と呼ばれた女の子は震える手でスマホを握り、こちらに向かって歩いてくる。
「…っ依里…、まだその女に構ってんの…?」
「おい麻央、」
「あたしとは全然遊んでくれなくなったのはその女と一緒にいるからなんでしょ!?」
そう泣き叫ぶ彼女を、私は知っていた。
宇佐美くんと遊んだ日、私にわざとぶつかってコーラをかけてきたその子。
怖い顔をして、『あんたなんか暇つぶしなんだから』と告げてきたその子。
「…依里はみんなのものなんだよ…っ?」