宇佐美くんの口封じ
◇
「じゃーね雅」
「うん。また明日」
リコが教室を出て行ったのを見送って、私は帰りの身支度を整えながらスマホを開いた。
トーク履歴から宇佐美くんとの画面をみつけ、
《どこに行けばいい?》
と、一言だけ打ってそのまま送信する。
さっき会ったときに聞いておけばよかった。頭がいっぱいいっぱいで、そこまで気が回らなかった。
…もう放課後だし、どうせ人もそんなにいないだろうから、2年生の教室に行ってみようかな。
返信をここで待つよりも、教室をのぞいて宇佐美くんの姿があればそれでいい。
ふとそんなことを思い立った私は、スクールバックを片手に教室を出た。
階段を降り2年生の階に着いた私は、宇佐美くんが何組か知らなかったので、怪しまれないように1クラスずつドアから遠めに除いて確認する。
…あれ、いないな。
誰かに呼び出されたとか、用事かできたとか、そんなところだろうか。
スマホを確認するも、返信はおろか既読すらまだついていなかった。