宇佐美くんの口封じ






「じゃーね雅」

「うん。また明日」



リコが教室を出て行ったのを見送って、私は帰りの身支度を整えながらスマホを開いた。



トーク履歴から宇佐美くんとの画面をみつけ、

《どこに行けばいい?》

と、一言だけ打ってそのまま送信する。



さっき会ったときに聞いておけばよかった。頭がいっぱいいっぱいで、そこまで気が回らなかった。



…もう放課後だし、どうせ人もそんなにいないだろうから、2年生の教室に行ってみようかな。

返信をここで待つよりも、教室をのぞいて宇佐美くんの姿があればそれでいい。




ふとそんなことを思い立った私は、スクールバックを片手に教室を出た。

階段を降り2年生の階に着いた私は、宇佐美くんが何組か知らなかったので、怪しまれないように1クラスずつドアから遠めに除いて確認する。




…あれ、いないな。




誰かに呼び出されたとか、用事かできたとか、そんなところだろうか。
スマホを確認するも、返信はおろか既読すらまだついていなかった。
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