宇佐美くんの口封じ
玲に隠す必要はないかな、と思った。
いや、もちろん詳しいことまでは誰にも絶対言わないと決めているけれど、玲には前に宇佐美くんのことを問われて心配させてしまったことがあったので、これから宇佐美くんと話すことくらいは言ってもいいのかなと思ったのだ。
“宇佐美くん”というワードを出した途端、玲はわかりやすく顔を歪ませた。
…彼は、宇佐美くんのことをあまりよく思っていないように見える。
「…なんで宇佐美と?」
「…や、何か用事でもあるんだと思う」
予想する限り──保健室で一方的に関係を元に戻したことについてだろう。
そりゃそうだ。
詳しく話を聞けるなら聞きたいと思うのが普通かもしれない。
「…宇佐美くんに絡まれてたのって、絶対からかわれてただけなんだよね」
「…え?」
「宇佐美くんの相手なんて他にもたくさんいるしさ。女の子たちから疎まれるのも迷惑してて。だからもう宇佐美くんと関わるのやめるんだ」