宇佐美くんの口封じ
宇佐美くんと関わるようになったこの数か月で、少なくとも3回は言われた言葉。
彼と私の間にずっとある線は、全部私が勝手に引いたものだ。
私がハサミで切ってしまえばあっというまに切れる線。
彼に踏み込むのが怖くて、はさみをもつことすらしなかった。
「…雅さんが決めたことに口出しをするつもりはないです」
「っ、」
「…けど、多分その答えを───宇佐美は望んでない」
玲の言葉が、私が蓋をした気持ちに刺さった。
「…嘘つくのやめたらどうですか」
「…っ、玲」
「好きなんでしょ、宇佐美のことが」