宇佐美くんの口封じ
宇佐美くんの友達
「…っ、あ、ごめん」
「ん、いいよ。もっかい続きからやろ」
文化祭集中準備期間に突入した私の学校は、一気にイベントモードに切り替わっていた。
各クラスごと模擬店の準備はほとんど終わっていて、本番3日前の本日から、体育館の設置が始まる。
そんな中、軽音楽部は一日目のオープニングと、中夜祭と称される文化祭中の体育館イベント、そして2日目の最後にある後夜祭にてグループごとに演奏をすることになっていて、体育館設置を免れる代わりに練習漬けの日々の送ることになっていた。
音楽室のいつもの場所で練習する私たち。
けれど、さっきから何度も私のギターがつまづいてしまい、演奏を中断させてしまっていた。
「雅、大丈夫?」
「っごめん、大丈夫、…ごめんなさい」
本番まであと3日しかないのに。
足を引っ張っているのは私だ。
部活に私情を持ち込んではいけない。
そんなことは自分でもわかっていた。
それでも、"彼"のことを考えて苦しくなって、何もかも考えられなくなってしまう。
結果的にメンバーにこうして迷惑をかけてしまっているし、
クラスでもリコにたくさん気を使わせてしまっている。