宇佐美くんの口封じ
「一回休憩しませんか」
玲が気を使ってそう言ってくれているのが痛いほど伝わる。
けれど今はその言葉に甘えることしかできなくて、「そーしよ!」と声を上げる遥馬や、「気にしなくていいから切り替えてこ」と微笑んでくれるサラに頷く。
サラと遥馬が自動販売機に飲み物を買いに行くと言って音楽室を出る。
残された私は、静かにギターを下ろした。
…本当にダメだ、私。
宇佐美くんに振られたからって、こんなにわかりやすく影響されてはいけない。
そう言い聞かせても、ふとした時に思いだしてしまう笑顔や優しい声に、どうしても泣きそうになってしまう。
「雅さん」
「…玲」
「…宇佐美、最近また遊んでますよ」
そんな情報を言いながら、玲が隣に座る。
“宇佐美”と、彼の名字を聞くだけで、どうしようもないくらい苦しくなる。