宇佐美くんの口封じ





せんぱいの所に向かったら、彼女はビックリしたようにあたしを見た。


…だよねぇ、そうだよねぇ。


だってあたし、あんたのこと嫌いだったし。
写真撮って脅したりしたし、わざとコーラぶっかけたりしたし。
せっかくの可愛い白い服、汚してごめんね。




そんなあたしが助けに来たらそりゃびっくりするのも仕方ない。





……だけどね、せんぱい。




あたし、本当に謝りたかったんだ。

あの日、まさかせんぱいが依里のことを突き放すようなことするなんて思わなかったから。

選ばれているはずのせんぱいが、依里を振るなんて考えられなかったから。



あたしが行かなかったら、きっともう両想いだったのかもしれないけどさ。



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