宇佐美くんの口封じ
女の嫉妬は醜い。
醜くて、気づかないうちに自分をダメにしてしまう。
気持ちが分かるからこそ苦しい。
あたしと同じような苦しみを味わってるんだろうなって思ったらなんだか彼女たちに同情してしまうけれど、それでもやっちゃダメなことはダメなんだ。
「…やるなら見つかんないよーに上手くやんなよ。…まあもう無理だろうけど」
「…っ、宇佐美くんに嫌われた…っ、」
「あー、嫌われたってより、多分顔も覚えられてないよ。依里の世界はあのせんぱいしか映ってない」
「……なんで、あんたそんなこと知ってんの…?」
「なんでって、」
依里は寂しがり屋だから、女の子で遊ぶ癖が昔からあった。
かっこいいし、みんなに優しいし。
だからみんな簡単に好きになっちゃうのがデフォルトだった。
だけど、だからこそ逆に単純なんだ。
依里、あんたはさ。
他の子と同じように接して落ちないせんぱいが面白くて、────愛おしくてたまらないんでしょ?