宇佐美くんの口封じ
そんなことを一日中考えているうちに、あっという間に放課後がやってきた。
ホームルームがいつもより少し早く終わったので、私は急いで音楽室に向かった。いつもサラが一番乗りで、楽器やマイクを揃えていてくれるのだ。
早く行ってサラと2人きりになる機会が少しでもあれば、「昨日のことは誰にも言わないよ」とちゃんと説明出来るかもしれない。
──…って、まあ、私の日常はそんなに甘くないんですけど。
音楽室は2年生の教室がある階に位置しているので、必然と2年生の教室の前を通ることになる。
音楽室に向かう途中。
「宇佐美くん部活頑張ってね!」
「あー、うん。ありがと」
「…ね、キスして?」
「…んー……、ん。いーよ、こっち向いて」