宇佐美くんの口封じ





「もうそろそろリハの時間ですか?」

「う、うん…行かなきゃ」

「立てますか?痛くない?」





話に夢中で忘れていたけれど、階段から突き落とされた時の衝撃は少し和らいで、血が出ていた箇所と青く痣になってしまったところ以外は特に痛みを感じ無くなっていた。


これなら、なんとかライブは出来そうだ。





「…せんぱいの最後のライブ、今日はリハと被って行けないんですけど。明日は見に行くので、」

「っ、」

「頑張ってくださいね」





宇佐美くんが微笑む。

ぎゅっと心臓を掴まれたような感覚。
この感覚を、私は何度も彼から教わっている。

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