宇佐美くんの口封じ
宇佐美くんって、人がいつ通るか分からない場所でも容赦ないのかな。
昨日も音楽室の扉自体は開いたままだったし、私に見られても動じなかったし。
それにしても宇佐美くんの唇、熱かったなぁ……。
って。
ふと昨日の彼の唇の感触を思い出してしまい、私はブンブンと頭を振った。
いかんいかん。
彼宇佐美くんの顔がイケメンだからって、いい匂いがするからって、──彼に流されてはダメなのだ。
目を覚ませ、私。
あのキスはカウントしない。
事故だった。うん、事故事故!
宇佐美くんがこっちに来ないうちにさっさと音楽室に行かないと───
「なーにしてるんですか?雨宮せんぱい」
「ひっ…!」