宇佐美くんの口封じ




ーー『また、後夜祭で』


そう言った宇佐美くんの顔を思い出す。



早く宇佐美くんに会いたい。

さっきのステージで堂々と歌えたのも、宇佐美くんが1番前で見ていてくれていたから安心できたんだって、お礼が言いたい。



…そして、早く好きだと伝えたい。





「…私もう行かなくちゃ」

「あ、後夜祭誰かと約束してるんだっけ?」

「…うん」

「じゃあまた明日の打ち上げでな!」




手を振る遥馬とサラに「また明日ね」と言い残し、私はギターを背負って廊下に出た。


宇佐美くんはどこにいるだろうか。
まだ校内にいるなら電話した方が早いかな。


そんなことを考えていると、




「雅さんっ」




玲が私を呼び止めた。



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