宇佐美くんの口封じ
"宇佐美"というワードに、ドキ…と胸が高鳴る。
小さく頷けば、彼は「そっか、」と呟いた。
「…雅さんとバンド組めて良かったです」
「どうしたの急に。…そんなの私もだよ?」
「…雅さんたち居なくなるの、…結構寂しい」
玲がそんなふうに言うなんて初めてで、いつもはお兄ちゃんみたいな玲が、今だけは弟のように思えてくる。
寂しいのはもちろん私も同じだ。
明日から部活のない毎日が普通になるのかと思うと寂しいし、あのメンバーでもう音楽をやらないのかと思うと余計悲しい。
「…雅さん、俺、」
「ん?」
「──…雅さんのこと好きです」