宇佐美くんの口封じ
宇佐美くんの特別
グラウンドに出ると、辺りはすっかり暗くなっていた。
生徒たちはもう半分以上が外に出ていて、あちこちにカップルの姿が見られる。
みんなジンクスを信じているのかな、なんて心の中で思いやながら歩いているうちに、とある場所で宇佐美くんがようやく足を止めた。
「ここ、凄い見えるんですよ」
「…初めてきたかも」
そこは、屋上に繋がる外階段の踊り場だった。
グラウンドと空の両方を一望できるそこはまさに穴場スポット。
私たち以外に人の姿は見えなかった。
「もうすぐ始まると思います」
「…そだね、」
スマホで時間を確認した宇佐美くんが言う。
ああ、どうしよう。
なんかもう緊張して心臓が聞いたことないくらい早くなっている。
このままじゃ花火と一緒に爆発してしまいそうな気がする。