宇佐美くんの口封じ
表情ひとつ変えない宇佐美くんがムカつく。
私ばっかりが昨日の出来事に振り回されていて恥ずかしい。
だからこれは、攻めてもの抵抗だった。
「ああいうこと?」
「…だからっ、……キスとか、それ以上とか…」
「あー…遊んでるってことですか?」
宇佐美くんが私の瞳を捉える。
表情を変えない宇佐美くん。何を考えているのか全然分からなかった。
"みんなの宇佐美くん"の悪い噂があんまり流れないのは彼が甘く囁いて、キスして、虜にしてるからなんでしょ?
本当はいつもこうやって人がいないところで彼女でもない女の子とふしだらなことしてるんでしょ?
「…私は宇佐美くんとは違うんだよ」
「…違う?」
「私は誰とでもそういうこと出来ないから。…、キスだって私は好きな人としかしたくなかったし、…、だから」