宇佐美くんの口封じ




何から伝えよう。
伝えたいことがいっぱいありすぎて、頭の中の整理がつかない。



「、私は、」

「うん」

「……、宇佐美くんといるの、…嫌いじゃなかった」




自分の声だとは思えないくらい細くて掠れた声。

耳を済まさないと、きっと花火の音にかき消されてしまう。

宇佐美くんは、そんな私をまっすぐと見つめてくれていた。




「…、麻央ちゃんと仲良くなったよ」

「、うん」

「…玲とは……本当に何も無いの、」

「…うん」

「……宇佐美くん」





言いたかったことは何一つまとまらないまま、頭に浮かんだ順番に言葉にしてしまった。

宇佐美くんからしたらきっと時系列がめちゃくちゃで、何のこと?と思われているかもしれない。



緊張する。胸が苦しい。







「……、要らないなんて言わないで…」





油断したら、今すぐにでも涙が溢れてしまいそうだった。




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