宇佐美くんの口封じ
宇佐美くんともう話せないんじゃないかって思っていた。
もう嫌われたって思っていた。
私はいつもタイミングが悪かった。
怪我したり、迷惑かけたり、見たくもないところ見てしまったり。
まるで、私なんかが宇佐美くんに恋をするのは身の程知らずだって神様に嘲笑われているような気がしていた。
宇佐美くんは私のことは最初から遊びで、それ以上でも以下でもなかったのに、私だけがこうも簡単に恋に落ちてしまって恥ずかしいと思った。
『ウブですね』なんて言ってからかいたいだけ。
私の反応を見てバカにしたいだけ。
宇佐美くんは"みんなのもの"だからって。
そうやって言い聞かせて色々なことから目を背けてきたはずなのに、宇佐美くんは私の中から全然消えてはくれなかった。
「…宇佐美くんはずるいよ」
「…、」
「…っ、その気にさせといて勝手に離れて行くなんてずるい…!」
「…、せんぱい」
「………責任、取ってくれないと許さない」