宇佐美くんの口封じ




もう戻れない。

宇佐美くんと関わる前の生活は、もう私にとっての"普通"ではなくなってしまった。




私の"普通"を奪ったからにはそれなりの責任を取ってもらわないと、フェアじゃないと思う。




「…な、何か言ってよ…!」




ふと我に返り、私はとんでもないことを口にしてしまったんじゃないかと自己嫌悪に襲われた。



なんだ責任取ってって。

漫画の見すぎでしょ私。

恥ずかしいからってなに急に強気になってんの。



自分の発言を取り消してしまいたい。

何も言わないでただ見つめてくる宇佐美くんにすら耐えきれず、私は思わず目を逸らす。



相変わらず、花火はムカつくくらいに綺麗だ。




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