宇佐美くんの口封じ





くしゃくしゃと襟足を掻き、「…あー」と声を洩らした宇佐美くんが私の方に手を伸ばす。



「…っわ、」


そう声をあげた時には、私は宇佐美くんの腕の中にいた。宇佐美くんの甘い香りに包まれる。

ぎゅっと私を抱きしめながら、宇佐美くんが言う。




「せんぱい、ほんと可愛い」

「ひぇ…」

「もう、なんか、…どーしよ」

「ど、…どうしよ?」

「せんぱい。…俺のこと、どう思ってますか?」






これだから宇佐美くんはずるいんだ。

抱きしめられながらそれを聞かれたら、もう逃げられないじゃないか。




「ね、言って」

「…っ、う、離れて…っ」

「言ってくれないなら離さない」

「……お、鬼!」



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