宇佐美くんの口封じ
ちゅ、とわざとらしくリップ音を立て離れるそれ。
宇佐美くんの瞳に映る私は、どんな顔をしているだろう。頬が紅潮していくのを感じる。
「…うっ、え、と」
「やっぱ可愛いわ、雨宮せんぱい」
「…、変態…っ」
「えー」
絞り出した声は細くて消えてしまいそう。
ニッと笑う宇佐美くんが酷く妖艶で、…かっこいいと思ってしまった。
「仲良くしましょーよ、せんぱい」
ごくり、生唾を飲み込む。
…ああ、おかしい。
こんな展開にする予定はなかったんだ。
私は"みんなの宇佐美くん"とは距離を置きたかったんだ。
それなのに、どこで間違いが起こったのだろう。