宇佐美くんの口封じ




「…あのさ、雅」


サラが気まずそうに口を開いた。




「……昨日のことなんだけど、」




はい来ましたこの話。

そりゃそうだよね。あんな破廉恥な現場を同じバンドのメンバーに見られたら流石にサラも普通に出来ないよね。



でも大丈夫。その話題に関して私から言うことはひとつしかない。





「大丈夫だよ。心配しなくても誰にも言わないから」

「雅…、」

「深く聞く気もないし、本当気にしないで?」





彼氏がいたような記憶があるけど、もしかしたらもう別れてたのかもしれない。


宇佐美くんに彼女はいないし、結果的に傷つく人がいる訳じゃないなら別にいいんじゃない?って思う。

…まあ、正直私には理解し難いわけなんだけど。






そう言うと、サラは急に私の手を握ってきた。
いつもより目が輝いているような気もする。





「え、なに?この手は」

「ねぇ雅、もしかして…」

「ん?」

「​雅も宇佐美くんにハマっちゃった!?」







……はい?


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