宇佐美くんの口封じ







「そういえば雅さん、昨日音楽室に居ませんでした?」

「…ん?えっ?な、なん、なんで?」

「いや、俺の教室から音楽室見えるから。雅さんが出てくるの見た気がしたんだけど、昨日部活ないしなって気になってたんですよね」





突然ふられたその話題。
玲が昨日私を見かけてたなんて予想外だったから、つい動揺して言葉が上手く出てこなかった。



まずい。よりによって宇佐美くんと同じ学年の玲に見られてたなんて。





「昼練の時にスマホ落としてたみたいで!取りに行ってたんだよね!」

「あーなるほど」

「うん!そう!」





私の言葉に玲は納得したように頷くと、「じゃこれ片付けてきますね」と言って準備室の方へ歩いていった。



…よかった。
宇佐美くんといた事まではバレてないみたいだ。




それにしても本当、どこで誰に見られてるか分からないから怖いなぁ学校は。


別にやましいことをしたわけじゃ…いや、少ししたけど……いやでもあれはノーカウントだから…。




どっちにしても他のみんなには絶対にバレないようにしないと。



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