宇佐美くんの口封じ





「雅、全部終わった?」

「あ、うん。玲が重いやつは片付けてくれた」





片付けを終え、続々と音楽室を出る部員たち。
私とサラも、続くようにそんな会話をしながら音楽室を出た。


ドアの近くで遥馬と玲が待っていてくれたので、昇降口まで一緒に向かう。






「俺今日バイトだからチャリなんだわ。また明日な!」

「明日は遅刻しないでよね」

「わーってる!頑張る!」





昇降口を出ると、遥馬はそう言って自転車置き場のほうに走っていってしまった。
…騒がしい人だなぁ本当。




「あ、やば。私も彼氏待たせてるんだった」





サラが思い出したように言う。
「…面倒だなー」と小さくため息をつくサラを見て、倦怠期なのか?と思ってしまう。


面倒だって思ったり、それでいて宇佐美くんと遊んだりしてるなら別れちゃえばいいのにな。



心の中でそんなことを思いながらも口には出さず、「また明日ね」と笑顔で手を振る。

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