宇佐美くんの口封じ





そう言ってリコとバイバイしてすぐ、私は音楽室に向かった。



音楽室の扉は空いていた。
7限目に授業があったのかもしれない。

中に入り、お昼休みに演奏をしたあたりに足を運ぶと、そこにぽつんとスマホらしきものが落ちてあるのが確認できた。


拾ってみると、それは間違いなく私のスマホ。
今度こそちゃんとポケットに入れ、踵(きびす)を返して音楽室を出ようとした。




…その時。

準備室の方からガタと、何かが落ちたような音がしたのだ。




機材がバランス崩して落ちたのかな。
軽音楽部の人たちって、時々片付けが雑だから、無理くり積み重ねたりしたのかも。



って、幽霊とかだったらどうしよう。




そんなことを思いながら、私は準備室の様子を見ることにした。
心霊現象ではないと思うけれど、もしそうだったら怖いので、なるべく音を立てないようにドアを開ける。




恐る恐る顔をのぞかせ、──そして私は、その光景を目の当たりにしたのだった。



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