宇佐美くんの口封じ
「ちげーよ。つかなんでお前らこんなとこにいんの?」
「暇だから映画でもみようかってさ。ほら、最近公開されたホラーあるじゃん」
「おまえビビりのくせにホラーでかっこつけようとすんなよ」
「はぁ!?そ、そそ、そんなんじゃねーから!」
『ちげーよ』
その言葉に、ズキ…となぜか胸が痛む。
いや、本当のことだし、むしろはっきり言ってもらわないと変に勘違いされたら困るし。
…別に全然、苦しくなんかなってない。
「依里、またこんどゆっくり遊ぼうな」
「んー、気が向いたらな」
「そこはうんって言っとけよ!」
そんなやり取りをした後、宇佐美くんはおもむろに私を見ると、「行こ」と言って顎で私に指示をして、4人の横を通り抜けてしまった。
取り残されるわけにもいかなかったので、友達さんにぺこりと頭を下げて同じように横を通り過ぎようとしたときだった。
「っえ、」
「あ、やだー!ごめんね彼女さん!」