宇佐美くんの口封じ
宇佐美くんと映画を見に行ったあの日。
コーラで汚された服を着替えるため、宇佐美くんは駅の近くにある、若い女の子に人気があるお店で替わりになる服を選んでくれた。
もともと着ていた白のブラウスに似たものだったけれど、小さく花柄のデザインが施されてありとても可愛いものだった。
タグを切ってもらい、新しく買ったブラウスを着てお店を出る。
「…ありがとう、お金…本当にいいの?」
「またそれですか?お礼ならこれでいいですって」
「、…うん…」
再び繋がれた右手。騒がしくなる心臓。
この繋がれた右手から心臓の音が伝わって聞こえていないといいな。
そんなことを考えながら、私たちは帰路についた。
「今日、楽しかったです」
「うん。私も…ありがとう」