宇佐美くんの口封じ
「せんぱい」
「な、なに!?」
「強がらなくても隠せてないですよ。さっきから顔真っ赤だし」
そしてどうして思ったことをそのまま口にするんだ。
言わないでほしい。
余裕そうに笑みを浮かべるのもやめてほしい。
「ふ、かわい」
「…可愛くない」
宇佐美くんといると、まるで私の方が年下みたいになってしまう。
隠しても無駄だと分かった私は、あきらめて火照る頬に手を当てながら宇佐美くんと目を合わせた。
「…どうして宇佐美くんはここにいるの?」
「もう名前は呼んでくれないんですか?」
「っ呼ばないよ!」
「呼んでくれたらこたえてあげてもいいけどなー」
…このやろう!
別にそこまでして宇佐美くんが屋上にいた理由が知りたいわけじゃない。
ただ少し気になったから話題として聞いただけで別に、宇佐美くんに興味があるわけじゃないんだ、そうだ。
「雅せんぱい」
頭の中では強気な私がいるのに、……いるのに。、
「…依里くん…、」
どうしてこんなにも簡単に、宇佐美くんの声に従ってしまうのだろう。