宇佐美くんの口封じ
そんな会話をしながら教室を出て、私たちは美術室に向かう。
その途中。
「雅さぁ、あの後輩くんとどうなったのよ」
急に振られたその話題。「…別に?」とあいまいに返せば、リコはわかりやすくため息をついた。
「んなわけないでしょ。最近全然雅に会いに来なくなったじゃん」
「…それは、」
「雅が言いたくないならと思って何も言わなかったけど。顔に出されちゃほっとけないでしょ」
そんなに顔に出してたっけ…と思いながらも、さすがリコだなと感心した。
伊達に3年間も友達をやっていないらしい。
諦めた私は、ついこの間までの間に起きたことをすべて話すことにした。
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「で、なに。それ以来話してないって?絵の具…赤と、黒…あった」
「う、うん…」
美術室について道具を探しながら、ようやく私の話は終わった。
頼まれた道具をすべて美術室の木製のテーブルの上に置きひと段落し、リコはだるそうに椅子に座った。釣られて私も腰掛ける。