宇佐美くんの口封じ






美術室は音楽室と同じ階にあるため、必然と2年生の教室の前を通ることになる。

ロングホームルームの時間は学年問わず同じ時間に組まれているので、同じように文化祭の準備を進める2年生の廊下は人であふれていた。



大荷物を持った私たち3年生が通るので、廊下で作業をしていた2年生は気を使って道を開けてくれた。…うう、ありがたい。





「ね、ちょ、リコ歩くの早い」

「雅、あんた模造紙のせいで視界悪いんだからちゃんと足元確認しないと」

「それはわかってるけど…」



リコとそんな会話をしながら廊下を歩いていると、突然目の前の教室のドアが開いた。





「え」

「おいっ────」


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