終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
13時半からの次の仕事。
星条ファッション専門学校の広告作成の顔合わせと打ち合わせ。
橘プロの撮影スタジオを1つ抑えて撮影するそうだからうちがほぼ提供。
見知ったスタッフばかりで気が楽だ。
「おはようございます、白川さん」
スタジオ入りすると入口近くにいた女性に声をかけられた。
「不知火さん、おはようございます」
彼女はアパレルメーカー『ラピスラズリ』の広報部秘書課のチーフ、不知火かすみ。
橘プロスポンサーのファッション雑誌Sevenの衣装がラピスラズリ協力もあり親交が深い。
「今日もお綺麗ですね」
ニコッと笑った瞬間後ろから頭を叩かれた。
「律兎さん。そういうのが勘違いさせる原因なんですよ」
「女性の見た目を褒めて何が悪いんだよ。だからチュー多はモテないんだ」
にらみ合う俺たちを気にせず不知火さんは話を続けた。
「今日は弊社の新人デザイナーが参加しますのでご挨拶に参りました。他のスタッフは残していきますので私はこれで失礼します」
「星条ファッション専門学校の卒業生ですね。とても優秀なんだとか」
「はい。いい子が入ってきてくれました。白川さんの衣装も彼女がデザインしますのでお楽しみに」
では、と言って不知火さんはスタジオから出て行った。
「デザイナー、女の子なのか…」
ボソッとチュー多が漏らした。
「何?不安なのか?」
「はい。律兎さんが手を出さないか」
「相手が誘ってこなかったらな」
「誘ってきてもダメです!」
小声で叫ぶチュー多にまたハイハイと相槌をうった。