終わり良ければ全て良し、けど過程も大事



「おーい、あの子見なかったか?」

「デザイナーの子ですか?さっきまでそこにいたんですけど」

「困ったな、打ち合わせ前に済ましておきたかったんだけどな」


スタッフがざわついている。



「どうかしましたか?」

チュー多がすかさず駆け寄った。


「根澄さん。それが、打ち合わせ前にデザイナーの子に律兎さんの採寸と顔合わせをしておいて欲しかったんですけどどこかに行っちゃって」

「そうなんですか。僕も探してきますよ。どんな子ですか」





…少し時間ありそうだな。

「トイレ行ってくる」


少し遠くにいるチュー多に声をかけスタジオを出た。



撮影が重なっていたのか今日はスタッフの数が多い。

いろいろ確認があるらしくスタジオ入りはしたものの実際撮影してるのは別の撮影班。

俺たちはだだっ広いスタジオの隅っこに機材を持ち込んでただ打ち合わせをするだけだ。





トイレを済ませスタジオに戻ろうとさっきの撮影で流れてた歌を口ずさんだその時。


「きゃっ」



突然誰かにぶつかり相手の人が床に尻もちをついた。



「わ、すみません。だいじょ―――」



手を差し出して顔を覗き込む。


時が止まった。

大げさではなく本当にそう思えるほど彼女は。




「可愛い…」


美少女だった。









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