終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
「白川律兎。また撮られたわよ」
1枚の記事を広げ指でコンコンと机を叩きながら社長が大きなため息をつく。
「ごめん、香奈さん。ついうっかり」
「反省してる?してないよね?」
「してるよ♪」
軽すぎる俺の口調に社長は再びため息。
「申し訳ありません、社長」
その点、俺の横で一緒に説教されているマネージャー、根澄勇多は涙目を浮かべながら頭を深々と下げている。
頭を抱える社長をよそに記事に目を向ける。
『人気モデル、白川律兎。アイドルとホテル街へ消えた!』
消えた?なんだ、追ってこれなかったのかこのカメラマン。
つーかなんだこれ、全部ガセじゃん。
「で?この記事は事実なの?」
ジト目で記事を眺める俺に社長が問いかける。
「この記事はガセ。ホテルなんて行ってないし。撮影終わりに帰り道が一緒になっただけ」
「なんだ、そうなの」
パッと顔が明るくなる社長に更に一言。