終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
キスはしない
結論から言うと彼女の返事は保留だ。
思った以上にメリットの提案が有効的だったらしい。
その間の俺のやることは、まず社長の説得。
「ダメに決まってんでしょ」
まあ…予想通り。
「根澄くん、律兎病院に連れてった方がいいんじゃない?大丈夫なのこの子?」
「俺にも何がどうなってこう言う話になってるのか…つい3日前に知り合ったスタッフの子ですから」
「何?なんなの?好きなのその子のこと。恋に落ちちゃったの?」
怒っているというよりは呆れと疑問と困惑といった感じか。
「別に好きとかじゃないよ。でもめちゃめちゃ可愛いから、つい」
「病院連れてって」
呆れだ。
社長はこれ以上聞く気はないとPCに向かう。
「でも、会社的にもメリットはあると思うんだけど」
「なんのメリット?」
「俺の女遊びがなくなるメリット」
キーボードを打つ手が止まる。
「チュー多が言ってたんだ。1人だけに決めて大人しくしろって。別に俺いろんな子と遊びたいわけじゃないから1人いれば十分だし、彼女が俺の相手してくれるなら外での女遊びは我慢できる気がする」
「ほお?」
「俺の隣に部屋用意してくれれば撮られることもないし社長も安心でしょ?彼女、俺のこと全く興味なさそうだったから周りに言いふらしたりしないと思うよ」
社長の表情が変わった。
「それはいいかも」
「え、いいんですか」
チュー多の顔は引きつってる。
「まあ、そういうことなら前向きに検討してあげるわ。ただし、その子が承諾してきたらまずここに連れてくること。ちゃんと話はしなきゃ」
「分かった。また決まったら連絡するね」