終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
「なんでこんなことになったんですか?」
社長室を出た後、俺の前を歩きながらチュー多が頭を抱える。
「なんでだろう」
「大体なんですか契約って。少女漫画ですか?映画ですか?」
「ほんと、それな」
俺自身、なんであんなこと言ったのかよく分からない。
ただ彼女に何かしてあげたいという気持ちが強かった。
あまりにも俺を拒絶する彼女にどうしても近づきたかった。
「まあでも、これで律兎さんが落ち着いてくれれば俺はなんでもいいです。それより、その子そんなに可愛いんですか?」
「ん?あー、すっごい可愛いよ」
視線を惹きつける存在感もあるし、すごく絵になる。
「香奈さんが見たらスカウトすると思う。絶対受けないと思うけど」
「珍しいですよね、律兎さんがそこまで女の子の外見褒めるの。俺も早く会ってみたいな」
「会えるよ。絶対彼女はOKする」
自信満々に笑って見せた。
エントランスについた時、見知った顔が受付の前にいた。
「あ」
「うわ、あの子めちゃめちゃ可愛い。新人ですかね」
「あの子だよ、契約の相手」
隣でコントのように驚くチュー多を置いて彼女に歩み寄る。
「結」
困った顔で振り向いた彼女は俺の顔を見て少し安心したようだった。
「白川さん」
「なんでここにいるの?連絡先教えたよね」
「連絡しました。朝からずっと」
「チュー多、スマホ」
慌てるチュー多からスマホを受け取り確認する。
「あ、ごめん。午前中事務所で打ち合わせだったから見るタイミングなかったんだ。で、なんの用?」
「契約のことで話がしたくて」
「いいよ。チュー多少し時間ある?どっか部屋空いてるっけ」
「あ、え、ああ、多分大丈夫です。ちょっと待っててください」
慌てて確認しにいくチュー多をよそに彼女に視線を向ける。