終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
「だってヤッたのは撮影後の楽屋でだもん。この写真はすでに事後」
嘘ばっかだよこの記事、と記事を指差す俺に社長が手元の書類を投げつけた。
「あんたバカなの!?バカなのね!!??」
「社長!落ち着いて!落ち着いてください!!」
「痛い…」
顔をさすりながら書類を拾う。
「ごめんって。だってさ、この日の撮影この子とのキスシーンだったんだもん。フレンチの予定だったのにこっそりディープなのされちゃったからこれは誘われてるなって思って、それで」
「分かった、もういい」
何度目か分からないため息をつき社長は頭を抱えた。
「いい?律兎。女の子と遊ぶなとは言わない。けどあんたはこの橘プロダクションの顔なのよ?イメージもいい感じに定着してきてる。仕事もドンドン増えてきてる。今が一番大事な時なの」
始まった…社長の演説。
「それに世間だけじゃなく業界のイメージも大事なの。あんた今何本CMやってると思ってんの?それもどういう系統?あんたのイメージは毎日のように女の子を食い散らかしてるチンカス野郎じゃなく、爽やか!だけど抑えきれない清潔な色気が駄々もれ!なのよ!?」
「イメージは守れてるよ?」
「ゴシップ週刊誌に載ることがアウトなの!」
「めんどくさ」
「律兎!!」
社長の怒鳴り声と共に今度はぬいぐるみが飛んできた。