終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
「…今日仕事?」
「いえ…引越し休暇らしく明日まで休みです。荷物ないからいらないって言ったんですけど」
「いいじゃん、貰えるもんは貰いな。ラピスラズリの社長はそういうの太っ腹だよ」
笑いながらスマホを取り出し電話をかける。
「もしもし、チュー多?」
『おはようございます、律兎さん。どうしました?まだ向かってませんけど』
「悪い、今日夕方まで時間ちょうだい」
『は?え、ちょっと待ってくださいよ。どういうことですか?オフにしろって?』
「うん、そう。どうせうちの会議でしょ?俺いらないよ」
『いやまあ、そうですけど、でも社長が』
「香奈さんには後で謝っとく。あ、あと車1台借りるから、じゃ」
『ちょ、律兎さ』
プツッ
一方的に終話し、「よしっ」と膝を叩いて立ち上がる。
「着替えて結。買い物行くよ」
「え?」
「俺と契約してるうちはちゃんと人間らしい生活してもらう。言っとくけど、これは命令だから」
グッと顔を近づけ圧をかける。
結は同時ず不満そうな顔。
「困ります。一緒に買い物なんてーーー」
「命令って言ったじゃん。“側にいることを拒否しない“契約でしょ?」
低い声で、さらに圧をかけた。
「…大丈夫。帽子とメガネで大体バレないし、バレても結に迷惑になるようなことにはしない。だから、お願い」
何を意地になってるか自分でも分からない。
思い通りにならない結に苛立っているのか、むしろそれが楽しいのか。
結が反抗すればするほど従えたくなる。