終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
不機嫌そうな結を連れて、近くのホームセンターにやってきた。
マンションには棚や机などのある程度の家具は揃ってるので食器などの細かい日用品と、あとは寝具などの購入だ。
「結は料理は…今まではしてなかったんだろうけど、キッチン用品揃えたらする?結の手料理食べてみたいな」
カートに体重を預け、食器コーナに目を向ける結の顔を覗き込む。
「しませんし、できません。立派なキッチンでしたけど、電子レンジぐらいしか使わないと思います」
無表情なまま必要な食器だけカートに入れて俺を置いて次のコーナーへ進んでいく。
「え、食器これだけ?」
コップ2個、箸2膳、フォークとスプーン1本、平たい丸皿1枚、深皿1枚。
「これとかどう、一緒に使おうよ」
どんどん進んでいく結の腕を引き、新生活コーナーにひっそりと設けられている『カップルにおススメ』と書かれたペアセットを手に取る。
「俺も1人だとあんま料理しなかったけど、結がいるなら全然作るよ。ほらこれ、夫婦茶碗」
「夫婦じゃありませんから」
勢いよく手を払い、背を向けて次のコーナへ足を向けた。
なんか、強引に連れてきたからか更に冷たいな。
ため息をつきながら再び夫婦茶碗に視線を落とした。