終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
ホームセンターの後はドラッグストアで消耗品を揃え、最後に家電量販店へ向かう。
「冷蔵庫と、電子レンジと…ケトルもあった方がいい?キッチン家電は3Fか」
壁の案内図を見てエスカレーターに乗り込む。
「あの、それも全部買ってもらうようになるんでしょうか…」
「まだ言ってんの?」
ホームセンターの時から、ずっとこれだ。
会計のたびに「私も出します」と財布を出す。
レシートを見ては全額出してもらうのは申し訳ないからと言い続ける。
店内では俺の身バレを警戒してか必要最低限の会話しかしないけど、移動中の車の中はうるさいのなんのって…。
まあ、最低限のものしかカートに入れない結を見かねて必要そうなものを俺がポイポイカートに放り込むから想像以上の金額になってることに苛立ってるのかもしれないけど。
「…しつこい。1回なら可愛げもあるけどそんな何度も言われたら奢る方も萎えるんだけど」
「萎えていいです。そもそも奢られる筋合いないですから」
目も合わさず刺々しい言い方。
わざと大きめのため息をつき「もう勝手に言ってな」と言い放った。
「冷蔵庫はこれでいい?」
「そんな大きいの、こっちの小さいのでいいです」
「もういい、これね。電子レンジ…オーブンレンジの方がいいか。トースターは?いる?」
「オーブン機能なんていりません。料理しないし、トースターも、焼かなくていいパン買ってくるので」
「じゃあこのオーブンレンジね。これパンも焼けるらしいから一石三鳥じゃん。あとケトル…」
一応確認はするけど結の意見なんて無視。
ケトルも勝手に選んでカートに入れる。