終わり良ければ全て良し、けど過程も大事


あまりにぶっ飛んだ商品に固まってしまって忘れていた。

隣にいる、俺の契約上の恋人が目を輝かせてこの炊飯器を見つめていることに。


「…結?」


声をかけても反応しないから軽く肩を叩く。

ビクッと体を震わせた結はハッと顔を上げてようやく俺の存在に気付いてくれたようだ。


「何してんの。ってか…え、これ欲しいの?」

半笑いで声優ボイス付きの炊飯器を指差すと、想像とは違う反応が返ってきた。


「欲しいです!」
「え゛」

食い気味に返答する結にたじろぐ。


てっきり恥ずかしがるかと思ったけど、嬉々とした表情のまま俺の目を真っ直ぐ見つめる。

その顔で、その表情で見つめられると、正直ヤバいんだが。


「私これ買います。頑張ってお米炊きます」

「いや、米って頑張って炊くもんじゃないよ。無洗米とか水入れるだけだし」

「あ、これは自分のお金で買うので大丈夫です。行きましょう!」

「え、あ…」


商品カードを抜き取った結はそのまま俺を置いてレジへ向かう。


…マジ?


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