終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
「え!?マジ!?犬僕猫君の!?へぇ〜アニメの和臣ってこの声優さんだったんだ」
衝撃すぎて信号が変わったことに気付かずクラクションを鳴らされた。
慌ててハンドルを握りバックミラーに会釈する。
通称、犬僕猫君。
『犬は僕、猫は君』という公安警察と女子高生の恋愛を描いた少女漫画で近々実写映画化もされる。
そう、主役の公安警察の花菱和臣を演じたのは俺だ。
「へ〜まじか〜…原作は読み込んだけどアニメまで見る余裕なかったからな…へ〜」
ある程度驚いた後、気付く。
「犬僕猫君好きなの?映画も見る予定?」
俺が主演を務める映画をもし結が楽しみにしてくれていたら、と。
「実写化嫌いなので見ません」
そんな淡い期待は秒で打ち砕かれた。
「そっか。じゃあ原作とアニメだけ?」
「はい。そもそも実写のあらすじ見ましたけど、少しストーリーが変わってました。そんなの許せません」
いつもながら饒舌…。
「まあ、実写あるあるだよね。仕方ないんだよ。アニメ化と違って実写化は相当金かかるから。いろんなスポンサーがつくとそれぞれの要求が詰め込まれちゃうからね」
「そんなの作り手の勝手で原作ファンからしたら何も関係ありません。原作の良さを潰すぐらいなら実写化なんてしなければいいだけです」
「ははっ、語るね」
また不機嫌になったけど、初めて結とまともに会話をした気がする。
楽しい。