終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
彼氏になるのは俺だったのに
こんなに目覚めのいい朝は久しぶりだった。
左腕に感じるしびれに目を開けて、最初に視界にとらえたのが結の寝顔だったからかもしれない。
「可愛い…」
鼻をちょんちょんと触れても気持ち良さそうに寝息を立てている。
毎日抱きしめて眠りたい。
それは許してくれるだろうか。
いつまででも眺めていられる寝顔を見ながら昨日の夜のことを思い出す。
初めてあんなセックスをした。
自分の気持ち良さなんて二の次で、ただ相手を気遣うセックス。
相手とただ触れ合ってるだけで満たされるセックスで幸せを得られるなんて思いもしなった。
結果、最後は速度をあげて終わらせたけど、キスしながらガンガン突いて普段なら出さないような声聞いて、セックスってそういう動物的なものだと思ってたから…あんなに相手の反応を見ながらしたことが今まであっただろうか。
少し涙の跡が残る結の目頭に触れる。
ピクっと瞼が動いて結がゆっくりと目を覚ました。
「…おはよう、結」
昨日もこうだった。
少し彷徨った視線が俺をとらえるとかすれた声で「おはようございます」と呟く。
「朝弱い?すごい眠そう。それとも体しんどい?」
頬をさすりながら耳たぶをつまんだ。
「大丈夫です。…あの、やめてくれませんか」
耳を触る俺の手をトントンと叩くとゆっくり起き上がった。
ベッドに散乱した服を布団で体を隠しながらかき集める結の背中をぼーっと眺める。
華奢な小さい背中。
抱きしめたい。
「…っ…あの」
願望を、無意識のうちに行動に移してしまった。
まだ裸の結を布団ごとぎゅっと抱きしめる。
俺もパンツしか履いてないから直に結の肌の感触を感じると昨日の熱が再びこみ上げてきそうだ。
「…痛かったよな。頑張ってくれてありがとう」
俺の言葉にもがいていた結は大人しくなった。
「次は優しくするから。ちゃんと結も気持ちよくなれるように頑張るよ」
服をつかむ結の手に手を重ねぎゅっと握りしめる。