終わり良ければ全て良し、けど過程も大事


「…十分優しかったので大丈夫です。それに」


少し体をひねり俺を見上げた。


「お心遣いは嬉しいですけど、これは契約ですから、乱暴にしないでくれれば私のことは気にしなくていいので」


またいつもの調子の塩対応。

でも、俺だってそう毎回やられてばっかりじゃない。


「そっか。でも女の子が気持ちよさそうにしてるの見るのも男は興奮するから。自分のために頑張るよ」


結の感じてるとこ見たいからさ、と笑うと結は顔をひきつらせた。

まあ、確かに気持ち悪いよな。


というか、結に優しくしようとすればするほど変態っぽくなってる気がする。


「シャワー浴びたいので離してもらえませんか」

「一緒に入る?」

「離してください」


あれ、またなんか距離ができた気がする。


しかたなく解放すると、器用に布団の中で服を着て俺の顔も見ず自分の部屋に帰っていった。


「つれなっ」


そう言いながらも顔はなぜかゆるむ。


というか、もう会いたくなってきた。


「朝飯作ろっかな」



小窓を確認もせずズカズカと結の部屋に入りキッチンに立つ。

卵焼きでも焼こうかな、とフライパンを探しながら気付いた。

結、料理しないって言って調理器具なんも買わなかったんだっけ。

食器しかない結の部屋のキッチンに俺の部屋から必要な調理器具と食品を持ち込む。


朝はご飯派だろうか、パン派だろうか。

朝弱そうだから食べない派かもしれない。


鼻歌なんか歌いながら2人分の朝食を用意していく。
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