終わり良ければ全て良し、けど過程も大事
米は…今から炊いたら時間かかりそうだから俺の部屋から持ってきた冷凍ごはんで。
と、電子レンジを操作しながら目に入ったあの炊飯器。
右海侑斗、だっけ…。
スマホを手に取り検索する。
「今をときめく大人気男性声優」「甘いイケメンボイスなのに癒される」「ご本人もイケメン」「今年夏にはアーティストデビューも控える」
トップのニュース記事だけですごい褒められよう。
確かに、今どきのイケメンって感じだな。
グラビアの画像も出てきたけど普通に俳優でもやっていけそうな顔してる。
かっこいい系というより可愛い癒し系って感じ。
事務所のHPにサンプルボイスがあり再生してみた。
まあ、人気声優だけあって声はいい。
…結はこういう声が好きなのか。
何個か聞いていると遠くからバタバタと走る音が聞こえてきた。
「右海さん!?」
目を輝かせてキッチンに飛び込んできた結に驚いてスマホを落とした。
俺を見るとすぐに眉をひそめなんでいるんだという顔をする。
「びっくりした。耳いいね」
「何してるんですか?」
「朝飯。一緒に食べよう」
出来上がった料理をさらに盛り付ける俺をじっと見つめる。
「小窓見ましたか?」
俺と結の部屋を繋ぐドアを指さした。
「ごめん。見てない」
「どうしてですか?約束ですよね」
「ごめん」
笑顔でごまかしながら机に皿を運ぶ。
「結。どうぞ」
座ろうとしない結に床をトントンと叩き促す。