終わり良ければ全て良し、けど過程も大事


「白川さん」

仕方なく姿勢を正し結を見上げた。

結構ガチで怒ってる。


「私はあなたの恋人になったんじゃありません。外で遊びたい欲を抑えるためにセックス以外にも恋人っぽいことをしたいっていうなら応じます。でも、私にもプライベートがありますから、決めたことはちゃんと守ってください」

「はい、すみません」


「次破ったら契約の解除を申し出ます」


「え!?嫌だ…ごめん、気をつけるから」


思った以上にガチだった。

「ごめん。結といるの楽しいからつい」

叱られた子供のように小さくなる。


「…あと、これ。なんなんですか」

机に並べられた食事を指差し怪訝そうな表情を浮かべている。



「何って、白米と味噌汁と玉子焼きと」

「そうじゃなくて、食器です」


茶碗を指差しようやく「ああ」と理解した。


「昨日のホームセンターで買った夫婦茶碗?」

「私いらないって言いましたよね?」


何度目か分からない「ごめん」を口にする。


「本当に、これ以上余計なことしたら白川さんの許可なく社長さんに直談判します。不愉快です」

「ごめん…」



浮かれた。

浮かれすぎた。


「次からはちゃんと許可とる。小窓も確認する。結が嫌だって言ったことは繰り返さない。だから、これだけは一緒に食べてくれない?もったいないし」



反省してるのかしてないのか、なんて顔で結は不快な表情をやめない。


「食べます。ありがとうございます」


でも先に髪かわかしてくるので、と洗面所に戻っていった。


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