終わり良ければ全て良し、けど過程も大事





「律兎さん!」


気付くと視界にドアップでチュー多の顔があった。


「うわ、びっくりした」

「もう聞いてました?今の話。しっかりしてくださいよ」

「ごめんぼーっとしてた」

「まったく。この間はぼーっとしてると思ったらしっかり仕事はしてたのに、今日は本当にダメダメな方ですね」


いいですか?と仕事の資料を最初から説明してくれた。



「『犬は僕、猫は君』の公開を控えてる中、アニメの第2期が放送されるみたいなんです。1期もすごい人気だったのでこのタイミングで実写の役者とアニメの声優で対談を行うことになりました」

「へー…って、対談?」

「それぞれ和臣役と優衣役に分かれて対談。あと写真撮影もセットで行います」

「誰と誰が対談?」

「え?話聞いてました?律兎さんはアニメの和臣役の声優さんとですよ」

「右海侑斗?」

「あれ、アニメは習熟してないって言ってたのに見てたんですか?」


さすがですね、というチュー多にまあ…とはぐらかす。


「え、犬僕猫君のヒロインって「ユイ」って名前だっけ」

「ん?…あ、確かに。あの子と同じ名前ですね。漢字は違いますけど」


全然気付かなかった。

え、じゃあ何?

結はこのアニメ見て「俺が優衣のこと守る」とか「優衣が好きだ」って言う右海さんの声を自分が言われてると脳内変換してたとかある?



…まじか。

そんなん、敵うわけないじゃん。


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