*君にたくさん愛を伝えたい*
「もしかしてさ、片桐のこと好きなの」
「あんたに関係ないでしょ」
どうせ昼休みも終わるし、少し早めに教室へ帰ろうとドアの方へ足を進める
「それが関係あるんだよな」
「は?ちょっと離して!」
力強く王子の胸元を押すけどびくともしなくて、むしろ抱きしめられる力は増すばかり
なんで、なんで
「俺七瀬のこと好き」
「無理、私は」
「片桐なんかやめて俺にしない?」
「俺が忘れさせてやるから」
最低だ
この胸の痛みを消せるなら、飛鳥を忘れる事ができるなら、この人を利用すれば
頭の中はもはや飛鳥を忘れようと必死だった
私は自分が1番可愛いのだ、もうこれ以上飛鳥を思ってなのか苦しみたくない、涙も流したくないと
その為にはこの人だって利用するし、飛鳥を遠ざけようとす
なのに、少し私を抱き締める力が弱まった瞬間思いっきり彼を押し除けたのは良心だろうか?それとも忘れたくても忘れられない飛鳥への想いだろうか
「いっ」
「ごめん、あんたの気持ちには答えられない」
尻もちをついたまま見上げてくる王子をほってそのまま屋上を後にした